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スタジアムと認知と経済(2)〜隣の芝生は青くない

では、吹田スタジアムの建設当時の事を思い出してみましょう。「大阪に新しい4万人規模の専用スタジアムが建つ」というのが決まった時、おそらく多くの人が「羨ましい」と感じたと思います。それは、「専用スタジアムを立ててもらえるG大阪が羨ましい」=「自分たちは建ててもらえない」という、「境遇」という「もの」へのコンプレックスによるものが大きいと思います。

しかし、横浜のサポーターに「吹田スタジアムと日産スタジアム、どっちが好き?」と聞いたら、おそらく多くが「日産スタジアム」と答えるでしょう。なぜなら、日産スタジアムは「私たちのホームスタジアム」という「物」への愛着があるからです。

「保有効果」と「愛着」

ここで、経済学の話に戻りましょう。

「非売品のグッズの転売」というのはご法度ですが、例えば、あなたの愛するクラブのロゴと、スターバックスのロゴが入ったステンレスボトルが、非売品のコラボグッズとして配布されたとします。

  • 多くの人を集めて、2つのグループに分けます。
  • 1つ目のグループには、非売品のボトルを見せて、
    整理券を渡し、こう言います。
    「皆さんにはこのボトルを購入する権利があります。
     この整理券を、いくらなら人に売りますか?」
  • 2つ目のグループには、非売品のボトルだけを見せます。
    もう1つのグループに、隣のグループ全員にボトルの
    整理券を配布した事を伝え、こう言います。
    「皆さんは、このボトルの整理券を、いくらなら買い取りますか?」

前回のエントリーで説明した「経済人=常に経済的に合理的な判断を下す人」の集合体の場合、この金額は、ほぼ一緒になるはずなのです。2つのグループは両方とも「ボトルが欲しい」という人たちで、その人たちにとって「ボトルの商品価値」は同じはずなのです。

しかし、実際には、同様の実験がすでに行われていて、「整理券を売る側」の金額設定は、「整理券を買う側」の金額設定より高くなるという実験結果が出ています。つまり、「自宅の芝生の方が隣より青く見える」のです。